なんとなく今日書こうと思っていた記事も、
さっき見た映画に全部もっていかれました。
…レンタルなんですけどね。
「おくりびと」

山崎勉と本木雅弘が…
なんでしたっけ、賞かなんかとっていましたよね。
2008年の作品なので、今から約5年前の作品になります。
山崎勉も本木雅弘も好きで、それもあるのですが
「納棺士」という職業を題材にした作品
という所に興味がありました。
公開当時私は中学生?高校生?どちらかだったのですが
TVCMを見た時から「なんだか綺麗な映画だな」という印象でした。
山崎勉と本木雅弘演じる納棺士の丁寧で美しい所作、背景で流れる静かな音楽。
その時受けた印象は、5年後の今、本編をすべて観終わったあとも変わりませんでした。
とても綺麗な映画です。
以下、作中いくつか印象に残った事を節操なく書いていきます。
まずショックを受けた事から。
作中、「納棺士」という職業を
「底辺」「恥ずかしい職業」と認識されている場面がありました。
「あなたは父親になった時、こどもに自分の職業を堂々と言えるの?」
…そう言って途中、大悟(本木雅弘)のもとから出ていく妻の美香(広末良子)。
言われた大悟はまだ納棺士として駆け出しで、
彼自身もまだ不安で仕方がなかった為、何も返す言葉がありません。
しかし、そんな美香や町の人々の発言にショックをうけた私自身もまた、
「美しい所作に心惹かれた」と口では言った物の、
心のどこかでは納棺士という職業に関して許容しきれていなかったのも事実です。
大悟が納棺士になった後、一番初めの仕事は
孤独死した老人の遺体の納棺。
死後2週間、部屋は酷い有り様で、大悟は必死に吐き気を堪えていました。
そして画面が暗転したとき、パソコンの画面に映りこんだ自分の顔もまた、
大悟の顔と同じように歪んでいたのです。
この時の自分の気持ちをこう、うまく言えないのですが
人間ってやっぱり見ていたいものだけをみて、それ以外の事を突き放すことで
自分を守っている生き物なんだな、と、つくづく感じました。
きれいな死に様の人、
目も当てられないほど著しく身体が損傷している死に様の人。
自分がもし実際目にしたとしたら、きっと対応は全然違うのだと思います。
例えそれが自分の実の母であろうと、赤の他人であろうと、関係無く。
それを考えたら、なんだか酷く悲しくなってしまいました。
寂しかったり、切なかったりもしました。
そして、もう一つ印象的だった物があります。
こちらは胸が暖かくなったエピソードで、「石文(いしぶみ)」というものです。
物語の中でも重要な役割を持つ石文なのですが、
どういったものなのかというと
「まだ文字をもたなかった古人が相手に気持ちを伝える手段として用いていたもので、その時の自分の気持ちに最も近い石を相手に渡す」
…と、いうものだそうです。
これのおかげで大悟は大切な思い出を思い出し、
「大切な人」を「おくる」ことが出来ました。
こちらの石文、途中大悟から美香へ送るシーンがあるのですが、
石を受け取った美香はただ一言
「うれしい」
と、言いました。
大悟は何を言ったでもなく、ただ石文の説明をして石を渡しただけです。
それに対し大悟は
「どんな気持ちが込められてると思った?」
と、美香に尋ねます。
「内緒。」
大悟にも視聴者の私たちにも、
この時美香が何を感じたのかわからないし、
そもそも大悟が石にどんな気持ちを込めたのかもわかりません。
しかし、画面の中にも、それを見る視聴者の私の胸の中にも
あふれていたのは幸福感、それだけでした。
私は先ほど、ショックだった事として挙げた文の中で
『人間ってやっぱり見ていたいものだけをみて、それ以外の事を突き放すことで
自分を守っている生き物なんだな、と、つくづく感じました。』
…と、書きました。
しかしこの「石文」の場面を見た事によって、逆に、
そうやって見ていたいものだけをみて、感じたい様に感じて、
それを自分自分の中で大切に守っているから、
人間は強いのかな。やさしくなれるのかな。
なんて事も思えました。
そんな風にいろんな事を感じ、考えながら鑑賞を終えた後。
はじめに言った様に心はとてもすがすがしかったのですが、
机の上を見ると鼻をかんだティッシュが山盛りでした(笑)
ええ、めちゃくちゃ泣きましたよ…。目が腫れぼったいくらいに。
明日のバイトまでに治っていると良いな(((^-^)))
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